児童文学で素晴らしいなぁと思ったのは、ミヒャエルエンデの「モモ」以来です。大人になって、みんなが感じているけど言葉にしないような、だけどとっても大切な問題ってあるよね。それが上手く揶揄されたものを読む。それが何を揶揄しているのか、想像をめぐらせて楽しむ。すごく充実した時間でした。


どこを取ってもとっても丁寧に書かれた読み物です。軽めの日本の読み物や、海外の訳書ばかり読んでいると、日本語ってこんなに美しかったんだなぁと思います。


もう子供じゃないから、子供がどういう風にこの物語を感じるのかわからないのが残念。はらはらしたりどきどきしたりがあるし、もちろんすんごく楽しめるとは思うんだけど。これを読んでおけば、大人になってどんなびっくり体験をしても、なにか不条理を感じても、これはどこかで出会ったことがあるぞ、これは乗り越えられる!みたいな感覚になるかもしれません。大人になってから経験しそうなアレコレを、子供の時に耐性つけておくみたいな教育ができる、かも。


そんなこんなで、いろいろ思うことはありますが、子供にとって一番良いのは、なにかを揶揄しているんだよとわかっている経験豊富な大人が読み聞かせすることかな、と思いました。子供って、本当に敏感で、大人の言葉の裏になにかあるなって思ったときには、そのことを感じるし、その感覚は忘れないんじゃないかなぁと思うから。



ハードカバーは在庫切れだったので amazon で新潮社の中古の文庫を買い求めました。そしたら、下巻の栞の紐が切れていて、なんか粋だなぁと一人( ̄ー ̄)ニヤリッとしてしまったのでした。なぜ粋だと思ったのかは読んでみるといいんじゃないかな!


この本をブログで紹介されていた kotoriko は、ネタバレしないように、でも興味をそそるようにレビューを書かれていたので、私も見習ってそういう風に書いてみたい!と思って書いたけど、長くなった>< どこかしこで書いてるけど kotoriko にはほんとに感謝!ありがとー!

http://d.hatena.ne.jp/kotorikotoriko/20080425/1209101876

↑このレビューで、たくさんの人が「ひげよ、さらば」を読んでる!

ひげよ、さらば (理論社の大長編シリーズ)

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