「音抜け」

「音抜け」が悪い、デモ音源を作り始めたら結構最初の段階で悩むことかもしれません。

音楽制作の最初から最後までの工程全部に「音抜け」を良くする、悪くする要因が潜んでいます。

今から音抜けに関する要素を書き出していきますが、音楽というのは、どれか一つに特別に秀でていると、他のことが秀でている方とご一緒できたり、アドバイスを頂けたりします。それまでは、楽しむこと、楽しんで続けることが一番いいんじゃないかと思います。自分はなにを目指しているのか、はっきりさせるのもいいと思います。それぞれ、一生をかける演奏者や技術者がいる世界です。もちろん、すべて追求するのもアリです。全てをいいレベルまで持って行く為のリソースは膨大ですが、一つのことが見えてくると、他も楽しく感じるかもしれません。

もやっとする人が多いらしいので、どの工程がどれくらい「音抜け」に関わっているのか、%で書いてみましたが、数字は個人のイメージです。


◆ 楽器やソフトシンセ、またそれらの組み合わせ (10-30%)

楽器の編成として、同じ周波数帯域の楽器が複数使われていたりすると音抜けが悪くなります。生楽器は、オーケストラにしても、バンドにしても、普遍的な組み合わせがあり、メンバーが集まればそれぞれの帯域がバラけるように出来ていますが、ソフトシンセは気をつけろ。

生楽器の価格は、音抜けというより、美しさの追求ですが、ソフトシンセに関しては、残念ながら、高級ソフトシンセの方が音抜けがいいです。


◆ 編曲(のバランス)(10%)

編曲も、例えば、ピアノの左手の音階がのベースラインと同じとこに被っていたら、抜けが悪くなります。でも、例えば、立ち上がりのシャリ感にフォーカスするアコースティックギターと、スローな立ち上がりのストリングスが同じ音階で鳴っていれば、両者は補足しあえる関係といえます。バンドやろーぜーとなったとき、大体、作曲やアレンジが出来る方が一人いると思います。いなかったら探そう。その人が大体のことは知ってると思う。

むちゃくちゃなことをやらない限り、むちゃくちゃなことにはなりません。むちゃくちゃなことがやりたい人や、やってしまった人は、「愛嬌」を身に付けておくといいと思うよ。人生のあらゆるシーンで役に立ちます。


◆ 録音 録音環境 録音機材 (40%)

マイクやアンプは、いいものはやっぱりいいですが、安くても高くても、それぞれに有ったものを使用していれば、そこまで「音抜け」に干渉しないように思います。けど、マイクの立て方、録音する環境は、すごく音抜けに関わってくる。周波数も、定位もぼんやりした音をミックスの段階で抜ける音にするのはとっても大変なのです。

「周波数」「定位」という言葉が出てきました。これがはっきりしていると、ミックスの段階で抜ける音を作りやすいのです。ルームリバーブを録音するために作られたスタジオで録音するのでない限り、デッドな環境で録音した「周波数」と「定位」がはっきりした音にあとで味付けをするほうが断然いい。味付けが下手でも、知り合った人が味付けが上手だったら、味付けてもらえる。お金を払ったら味付けをしてくれるところもある。でも最初から、しょっぱすぎたり甘すぎたりするものには、手の加えようがないのです。

同じ理屈で、アンプにマイクを立てて録るより、ラインで録って、アンプシミュレートを使ったほうがredoできますが、いろいろ試してみるのは楽しいよね。録音技術や機材に興味がある方はどんどん試したらいいと思います。

私の知る限り、この技術に秀でている方は、改造や、自作の道を通過します。ヘッドフォン改造とかですね、スピーカー自作とか。


◆ ミックス ミックスする機材 ミックスの腕 (40%)

DAWで音抜け(音)は変わります。きっぱり。StudioOneをオススメしておきます。Free版もあります。
DAWであれば、ミックスに使うプラグインエフェクトで音が変わります。残念ですが、高価なものの方がいい音です。

録音をクリアしているなら、このミックスの段階での、EQとコンプ、リバーブなど、プラグインエフェクトの使い方が一番「音抜け」に関わってくると思います。

◆ マスタリング機材 マスタリングの腕 (5%) 

ハイエンドは、高級アウトボードの世界です。名のある、また、旬なスタジオにお勤めするとか、腕の良いエンジニアさんのアシスタントをすると勉強できます。2mixの時点で音抜けが悪いと、マスタリングでどうにかするのは限度があります。えと、チャーハン作るやん?チャーハンのご飯粒と、塩コショウと、焼き豚と、ねぎとしょうゆを分けて、ケチャップライス作られへんやん?チャーハン作ったら、福神漬け付けるのがマスタリングです。福神漬けつけたら、ぱっと鮮やかになって、プライス付けてお客さんに出せるやん?そんな感じ。()

DAWでもマスタリングは可能ですが、これまた限度があります。高級アウトボードの質感には及びません。けど、限度があっても売れるものは作れます。(例:中田氏)


全部足したら105%-125%になるけど気にすんな。