ところで今日も歌詞について考えた

今読んでいる本

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

ご冗談でしょう、ファインマンさん〈上〉 (岩波現代文庫)

物理学者の生い立ちをコミカルに描いた小説です。

読んでいて伊坂作品との共通点などをいろいろと思いました。普段言葉にしないような、だけど誰でもが感じているような概念的なことをわかりやすく言葉にして表現してあり、それが随所に散りばめられています。著者が実際に経験したことから、また、自分が思考をめぐらせ腑に落ちたことから紡ぎだされているので、読者から強力な納得を引き出すのだろうなぁと。今、その概念がどういった種類のものなのか、考えているのですが、知的な発見、人の心理に関する碧眼的な意見、などでしょうか。まだ、上記の本を読みきっていないので、これは、また考えて作詞に役立てたいと思います。


難易度★★★
私は、タブーを冒していくことが、芸術の一つの役割だと思っていて、タブーってまず「セックス」「金」と思い浮かびますが、これを咀嚼し表現できるアーティストというのは少ないかもしれません。それらがタブーであり、表現することには意味がある、という思考を経ないと、表現するとバッシングを受けるのではないかという恐れが先に立つだけで、ただの下品な作品になってしまいそうです。


難易度★★
代弁者としての階級意識の表現。例えば、○○ハラスメントに対する表現。ブルースであること。これらはいつの時代にもその時代の叫びがありますし、ニーズがありますが、作り手が魂から叫んでいないと嘘っぱちですし、リスナーはそれを敏感に聞き取ると思います。ですので、深く怒りを感じた、深く辛さを感じた以外のアーティストだと裏目に出てしまいそうです。例えば演技者としてそのポジションがこなせるボーカルがいたとしても、その心的負担はものすごいものだろうなーとも思います。


難易度★
今回考えている、普段言葉にしないような、だけど誰でもが感じているような概念的なこと。自分が思考をめぐらせ腑に落ちたことから紡ぎだされているので、強力な納得をボーカリストからもリスナーからも引き出す。こういった概念は、手を変え品を変え、いつの時代も使いまわされるものもありますが、伊坂作品には新しい、しかもシンプルでかっこいい概念がありますし、物理学者のお話にもそれがあります。品性は崩さず、訴求力があるので、こういった歌詞が書けると、とてもいい。とてもいいけど、難しいぞ。


しばらく考えていたのですが、これは、やりたいことや興味のあることに真摯な態度で望み、貪欲に行動、消化した人だけが書けることなのかもしれないなぁと思った次第。行動なくしては、疑問も浮かびませんし、疑問がなければ思考もないと思うのです。そういうことだと思うのです。


伊坂氏の作品は何冊か読みました。

終末のフール (集英社文庫)

終末のフール (集英社文庫)

あるキング

あるキング

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

モダンタイムス (Morning NOVELS)

モダンタイムス (Morning NOVELS)

陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)

陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)

なんかレビュー書いて被ってるのもあるかもしれない。多作ですね。伊坂氏。