親子の愛情の深さ、音楽によるその不思議な繋がりを描いたお話です。

母親がジュリアード卒のチェロ演奏家、父親はギターボーカルのバンドマン、二人は一夜を共にしただけで離れ離れに、その時に母親が身ごもった息子は両親の顔も知らないまま孤児院へ。というなんとも切ない設定なのですが、三人の奥底に同じメロディーが流れていて、それが三人を再会へと導きます。テーマをぶれずに描ききっている感がありますし、とても感動的でした。

で、この息子が、天才。ギターを触った日にちょっとした曲を一曲弾いちゃったり、スコアの読み方をちょっと教えてもらっただけで教会のパイプオルガンを演奏しちゃったりします。ほえー。

奇跡のシンフォニー [DVD]

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私は、ここで描かれているような天才という人種と今まで実際にお会いしたことがありません。どなたもやっぱり相当な努力をされています。共通点があるとすれば、ご本人は努力だとは思っていなくて楽しんでいた、とか、ダメだと思っても継続した、とか、落ち込み→復帰までの時間がやたら短いとか、たぶん、そういうことです。それを支えるモチベーションはやっぱり存在していて、それは、この映画のテーマである、愛情や不思議な繋がりなのだと思います。一人ではなにもできないなぁと改めて思いました。

好きなシーンは、両親が出会うシーン、父親が息子と知らずに声をかけて公園で息子とギターセッションするシーン。すごく良かった。




天才繋がりで、もう一つ。少し前に見た映画ですが、こちらは香りの天才です。パフュームで検索したら違うブツがたくさんでてきたよ・・・。検索でここに来たパフュームファンのみなさん、ごめんなさい・・・。

香りに取り憑かれ、誰よりも香りの分析力に長け、自分の思い描く香りを作ろうとして、人を殺めていく男の物語。法とか、善悪とか、無縁の天才です。


この映画の全編を彩っているのは悲哀です。


まず、物語の時代が中世あたりなのかな、この主人公、田舎の出身でマナーや教育がなされていません。粗野です。そこから、自分が香りに興味があることを知り、エレガントの代名詞であるような香水の専門家として働き始め、、、みたいな悲哀がまず胸を打ちます。教育や情報というのは、才能には関係ないかもしれないけど、役立つものなのだなぁと思う。


そして、パフュームというと一見華々しい世界ですが、作るということはそういう華々しさとは結構はなれたところにあり、別の魅力があったりします。音楽も似たようなところがありますね。作っている人の脳でしか感じられない快楽がありますし、集中したら止まりたくない、時間を過ぎてもいいものが作りたい、掃除とかかまっていられない、寝ていなくても起きられなくても放っておいてくれ、みたいなことです。あらゆることを犠牲にできるくらいの快楽がそこにあるものです。周囲は結構迷惑です。この男なんか、人殺しちゃってるし。だけど、モラルとか善悪とか抜きでジャッジすると、私は許せるな。この男を許せる。


本能に従い、才能を開花させ、結果を出した人を許せないという人はあまりいないんじゃないかなぁと思います。表面的には「いけないことだと思う」と答えるのが模範解答だとして、大勢の中だとそう答える人が大多数だとしても。


というわけで、天才二人を紹介しました。パフュームはトーンが少し暗めですが、とても良い映画だった。なのに、レンタル屋は一本しか店頭に並べてなかった。私が恋人と見るならパフュームです。奇跡のシンフォニーはちょっと一緒に見るには照れくさい。