またまた弟が三冊持ってきてくれた。やばいんだって、伊坂作品、やばいんだって。積読とか辛いんだって。読み始めたら止まらないし・・・。と思いつつ持ってきてくれた翌日に一冊読んでしまいました。に、二時間だからね!つかの間の娯楽なんだからね!

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)


 俺だけがわかるよ伊坂・・・

読んでいて「この気持ちわかるのは俺だけ・・・・!!!伊坂よ、よく書いてくれた・・・!」と思っているのは私だけではないはずです。伊坂さんてば「この気持ちわかるのは俺だけ!」と思わせるのがめちゃくちゃ上手いと思う。孤独や言葉で表現しきれないような、だけど日常的な人間のちょっとした不思議な力、なにかに傾倒する気持ちや、自分の欠落した部分、どこか社会と切り離されているような生き辛い自分の一部分、軽快なプロットと共に本当に魅力的に描かれています。

音楽でも、絵画でも、文章でも優れた作品は「俺だけにはこの気持ちがわかる!」と感じさせる力があるのだそうです。ほんと、そう思う。心理のもう一つ奥深くに潜んでいるものを引っ張り出してくるとこういうものが描けるのかなぁと思います。


 マイノリティーがファンになると

こういった人たちがファンになると、やっかいなことになりがちです。例えば音楽だと「熱狂的なファン」がいるバンドやアーティスト、妄信者を抱える宗教団体など。心理的な依存が働きやすいモチーフなのかもです。でも、こういうの、私は大好きだ。傾倒上等。依存上等。どっぷりはまって見える世界もあるわけで、それを知らないと、どこからが傾倒なのかもわからないよね。


 絶妙なバランス

だけど、伊坂作品にはマイノリティーに傾倒させすぎない絶妙なバランスがあります。バランスを保っている要素をいくつか挙げてみますと、

・ テンポの良いプロットや構成の知的さがそれを緩和
※知性と、依存や傾倒は逆方向の力が働くと見た

・伊坂氏の作品が多く映画化されている事実
※マス受けする作品との周知が、マイノリティーと逆方向に働くと見た

・著者の爽やかな倫理観、道徳観
※依存や傾倒は本来どろどろしたものですが、読後はいつもすっきり爽やか(このあたり説明できるまで考えがまとまっていません)

などかなぁ。本当に絶妙なバランスだと思います。二番目の理由「伊坂氏の作品が多く映画化されている事実」から、井坂氏、売れれば売れるほどもっと濃密なマイノリティー共感を呼ぶ作品が描ける可能性があると思うのです。マスのパワーの分マイノリティー心理が描けるのではないかと。これは一見矛盾しているようですが、そうではなく、よりマスに訴えかけるものと、マイノリティーを突き詰めることはある意味イコールなんではないかと思うわけです。井坂氏のこの先の作品も本当に楽しみです。

考えていてすごく腑に落ちた感があります。是非作詞や作曲に生かしたい。

というわけで、あと二冊お楽しみがあるのだけど、今日はもっとお楽しみがあるっ。それは明日書く!ちょっと時間がとれるので、今から徹底アレンジ研究のベース打ち込もうかな。