お正月に読み返した本、新たに読んだ本について覚書です。辛口ですが、この他にもたくさん本は読んでおりまして、ブログに書かない本の方が多いのです。なので、辛口ですけど、書いておこうと思った点があったのです。

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

  • 作者: ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠裕子
  • 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
  • 発売日: 2010/03/10
  • メディア: ハードカバー
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書かれていることは、とても明快。けして難しい本ではありません。薄い本でさくっと読めます。

精神論です。あと、成功哲学っぽい。米国は起業家精神というのがもてはやされますので、ドメエリートが最上とされる日本人にはピンと来ないかもです。

示唆深いのは、

第9章「これ試験に出ますか?」

試験にでなけりゃやらないよ、というのは、実は非常に効率的。現代日本の縮図のようです。「やる気出していこう!」とか「ポジティブに!」とか言う人は確かに「ウザい」。何故でしょう。ベットできないんですよね。そもそも。賭けるべきものがない。賭ける場所もない。しかし日本人はハリウッド思考に塗れていますので、一方ではアメリカンドリームを詰め込まれ、精神的には鬱屈したものが溜まっていくのではないかなぁと思います。日本人、大変。

一番良かったと思ったのが あとがきというか、解説の部分で三ツ松新氏がピカソの言葉を引用されておりまして、

ラファエロのように描くのに4年かかったが、子供のように描くのに一生かかった」

技術は学べば身につくのですが、作為の無さや伸びやかさを取り戻すにはいろんな覚悟が要ります。これは心に留めておきたい。

もう一つ、三ツ松新氏が諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授の言葉を引用されています。

遺伝子の見地から、ドーパミン第四受容体の遺伝子内塩基の繰り返し率が多いと「新奇探索傾向」が強いとか。セレトニンが少ないと「損害回避傾向」が強まる。日本人は「損害回避傾向」が強い。

とか。どういう調査だったのかわかりませんが、「損害回避傾向」が強い日本人98パーセントという数字が出ています。だから、起業したら勝算あるかもよ?がんばれ!みたいな。なんて無責任な・・・!笑

日本人のように農耕文化で外敵の侵略が少ないケースでは、動き回るより同じ場所にいた方が冨が蓄積、生存確率が高くなる。

ですので、スタンフォードの講義に違和感を覚えるのは、私だけではないから、安心しろと。うむ。

独創性を持たないことで開かれる道もある、徹底的に既存のものを改良するインクリメンタル・イノベーションも大いに結構。

自動車産業、家電、音楽もですね。日本はインクリメンタル・イノベーションの極みです。三ツ松氏も書いていらっしゃいますが、日本のそれは、もはや芸術の域に達しています。

というわけで、本文より解説の方に言及してしまいました。なんとも・・・。


クリエイティヴ脚本術―神話学・心理学的アプローチによる物語創作のメソッド

クリエイティヴ脚本術―神話学・心理学的アプローチによる物語創作のメソッド

脚本にも興味があるのですが、歌詞の制作の為に手に取りました。音色からのアプローチでない国内の企画については、まだストーリー立てた歌詞というものの需要がありますよってに。

民話、神話の口承におけるブレスト効果について、あっちからこっちから書いてあります。この辺り、非常に示唆深いのですが、訳書ということもあるのか、文章は多少バラけてます。「要約してみよう」→要約されていないどういうこと!・・・悪文の典型みたいな。ちと辛口かもしれませんが、要約できる能力があれば、この著者はいい脚本の一つでも書けているのかもなぁと。

民話、神話の口承におけるブレスト効果については、民謡などにも当てはまります。その辺りを考えられたのが収穫でした。あとは、制作の意義、大儀について、著者の理想めいたものが著述されており、ちと考えさせられましたが、こちらは、実際に現場にいる方にしか語ることができないことの方が多いと思うので話半分で。

生物学、心理学、もう少し、裏づけ的な研究資料の引用があると嬉しかった。たくさんの有名な映画のお話が引用されており、サービス精神旺盛な著者だなぁと思いました。しかし、そのバランスに失敗していると思う。なんでしょうね、ここまで来ると、有名人と一緒に写真を撮りたがる人みたいだよ・・・。

あと、ユングアーキタイプ、ヒーロー云々や生死のサイクルなどにも言及ありますが、誰もがサクセスストーリーを望んでいるわけではないのです。それは、ハリウッドの映画の人気タイトルを見ればすぐわかる。栄華も堕ちるものも、ストーリーとしては同等だ。じゃぁ、何が違うのかというと、多くの場合、その規模とスピードに依るのだと思う。スピードについては書きたいことがあるのだけど、また今度。

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

奇想の系譜 (ちくま学芸文庫)

良書でした。とても良かった。昔の画家は情報に塗れることなく、自身を掘り下げていけたのだなぁと。ちらっと考えたのは、客を呼び込もうと思うと奇抜(グロ)になるってのと、自身を掘り下げて行って、メタにメタを重ねて行くとなぜか段々グロくなっていくってのは違うんだなぁと。たぶん、見るとわかります。奇を衒うというのと、内面から滲み出てきてしまったグロは明らかに違う。

あと、ドラゴンボールのドラゴンがいますし、ポニョの魚の群れとか、いますよー。古典は、現在のマンガの系譜でもある。楽しい。


今日はこれから歌詞案件です。早めに終えてヨガができるかなぁ。