弟に伊坂氏の「砂漠」を貸したところ、三冊購入して持ってきてくれました。三倍返しだ。男性諸氏は見習うように!


チルドレン (講談社文庫)

チルドレン (講談社文庫)

目の見えない人と、状況対応力が高い人のお話。

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)

殺し屋さん達のお話。どの人もまるで悪い人に見えないから不思議。

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

自分が念じた言葉を人に言わせる能力を持った人のお話。言葉は試したことないけど、音楽では試したことある。心で思い浮かべた曲を人に歌わせるという人体実験です。ひどい。結論から言うと、これは可能でした。当時、面白がって何度か試したけど、成功率 100% だった。いくつか条件があって、その条件を満たした場合、ということだったと思うのだけど、それは当時からわかっていた感じです。んーこれは特別なことではなく、よくあることだと思うのですよね。スピッツも歌ってるじゃないか。


 デジャビュ

このうちの二冊の読み始め、あれ、この本、どっかで読んだことあるっけという強いデジャビュに襲われました。これはシドニーシェルダンの「ゲームの達人」以来です。ゲームの達人のときはすごかった。読む前に夢で見たんだよね。おお、私が見た夢が書いてある!と思ったもの。


 ヒットの条件

読み手にデジャビュを喚起させるものというのは、

・書き手の集中力が高い
・筆が乗っていて、書いているときに、自分でも夢か現実なのかわからないくらいの陶酔があり密度ができる
・その結果、読み手の深層心理に訴える精度が高い

のではないかなぁと考えるのです。密度とか精度とか書いてますけど、私の中ではその言葉が一番しっくりくる。ヒットする曲というのもこういうことがあると思う。密度や精度が高い。視覚や聴覚に訴えるものというのは、言葉だけで伝えるものよりもちょっと仕組みが単純だと思う。言葉でこれをやるのは、とてもすごいことだと思いました。


 サビ頭

書いている途中のシーンやクライマックスを冒頭に持ってくるという技は、単純に物語の構成的に面白くなるという意味もあるだろうけど、筆が乗っていて、テンションがある掴みをあえて最初に持ってきて、読者をがっちり物語りに没頭させるということでもあると思うのです。作曲でもサビ頭、インパクト!とか良く言われますけど、要するに、テンションが乗り切って作られた部分を冒頭に持ってくるということだと思うのです。駄曲のサビをいくら冒頭に持ってこようが駄曲は駄曲なので注意と自戒した。



まぁ、なにを見ても何を聞いても何を読んでも結局は作曲考に行き着くという、幸せな職業病のようなレビューでした。ところで伊坂氏の作品はほんと、乗り切ってる感があるので、本好きにはオススメしたいです。

最近の作曲、モチーフをたくさん書き溜めたりしています。ちと多忙で、歌うパワーと時間がとれないので、こういったインプット作業をしたり、改めて技術書を読んだり、ストックのミックスなどしてみたり、ということに当ててみようと思っています。